年をひらう

 私達以上の年代には、お正月が来ると一歳ひらうと言う言葉をよく耳に
していましたが、この言葉の響きが年々重たくなる年齢になりました。
ある本に<老>と言う文字には三つの意味がある。一つは年をとる。二つは
練れる。三つは<考>思索が深まり、完成すると言う意味。年を重ねるごとに経験を積み、思想を深め、自己・人生を完成させてゆく努力の過程でなければならない。これを<老計>と言う。それには、先ず学ぶこと。学問は
年をとるほど良い。百歳にもなっての学問は、実に深い味があろうと思う
 <見面盎背>孟子の面に見れ、背に盎る・思想や学問が単なる知識や、
趣味に止まらずに、身に付く、体になること。それらが真にその人の生命
になる。人間は面より背の方が大事。徳や力というものは先ず面に現れる
が、それが背中、つまり後姿・肩背に盎れるようになってこそ本物と言える。後光がさすと言うが、前光よりは後光である。ある本を読んで自分なりに年をひらう寂しさや、不安等々諸諸の心の動揺を抑えて生きる指針にしています。