朗読会に参加して

  「あるハンノキの話」原爆が投下された広場に死を目の前にして、大勢の被爆者が横たわっている中の、あるハンノキの幹の下で被爆した母親に抱かれて、母親から名前を呼ばれながら乳房をすわぶっていた時、急に母親のかすかな乳女児の名前を呼ぶ声が途切れて、乳児の大きな泣き声が聞こえた。母親が息絶えたのだろう。その後乳児は保護されたようだ。数年の月日がたったころ、ハンノキのある公園の近くに越して来た親子に一人の女児がいて、公園で近所の男の子とひたしく遊んでいましたが、数日後その女児が白血病で亡くなった過程をハンノキが語った話ですが、杉浦圭子NHKアナウンサーの朗読会で聞く機会がありました。今西祐行著でしたが、彼女の朗読会に参加して、まるで頭の中でハンノキの話の光景が広がっていました。この朗読の力は無限大な創造力を醸し出してくれる効果があります。彼女がただ活字を読むだけなのに、私の頭の中は今でも「あるハンノキの話」のストーリーがハッキリ残って居ます。